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ティーガーデン星は、おそらく蒸し暑い

 地球からおよそ12.5光年の距離に、ティーガーデン星と呼ばれる星がある。2019年に、このティーガーデン星に惑星が2つあることが発見された。それぞれ「ティーガーデンb」「ティーガーデンc」といい、この惑星が、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にあると言われている。
Teegarden and its planet image
ティーガーデン星の想像図。https://www.sciencealert.com/two-earth-like-planets-found-orbiting-a-star-just-12-light-years-awayから借用。

ハビタブルゾーンなどという変な日本語を勝手に作らないで欲しいけど、以下の図がそのハビタブルゾーン。
https://nazology.net/archives/40317から借用
habitable zone
縦軸が恒星の温度、横軸が惑星に降り注ぐ光の量。地球(Earth)が、このグラフの真ん中、上の方にある。太陽の温度は約6000℃。同じ太陽を恒星に持つ金星(Venus)と火星(Mars)が、地球(Earth)の左右に並んでいる。
 ティーガーデン星の温度は約3000℃。ティーガーデンb(Teegarden's Star b)は、このグラフの左下の方に、、ティーガーデンc(Teegarden's Star c)は、このグラフの右下の方にある。それぞれ、Optimistic Habitable Zone(ハビタブルゾーン)内にあり、生命居住可能とのことだ。

 問題は恒星ティーガーデン星の約3000℃という温度の低さだ。地球の太陽は約6000℃。この6000℃がという高温がいいのだ。温度が高いほど反エントロピーが大きい。地球の太陽は反エントロピーが大きいところがいいところなのだ。『マックスウェルの悪魔』(都筑卓司 1970年 講談社)は、われわれがもし太陽に感謝しなければならないとしたら、それが大きなエネルギーを供給するからだけでなく、大きな反エントロピーも与えてくれていることも忘れてはならない。と言っている。
 では、もし太陽の温度が低かったら? 地球上の大気が飽和水蒸気になって水分が蒸発しないと予想されている。『マックスウェルの悪魔』という本の中では、もし太陽(に相当する仮想天体)の温度が20℃くらいだったら、地球上の大気が飽和水蒸気になって水分が蒸発しないと予想している。さすがに、もし太陽の温度が20℃なら、発する光も可視光線ですらなく、世の中は真っ暗で、それは極端な例だ。ではもし3000℃なら? ぎりぎり可視光線で人間の目でものを見ることのできる明るさで、水分もなんとか蒸発することはできるであろう。しかし、太陽が6000℃の場合と比べたら、太陽の温度が3000℃の場合は洗濯物の乾きも悪いことが予想される。

 先日、すごい蒸し暑い日があった。湿度が高くて、皮膚から汗が蒸発する気が全然しない。そんなとき、ティーガーデン星のことを思い出した。ティーガーデン星は反エントロピーが小さいので、水分が蒸発しにくく、蒸し暑かろうと。

 研究者たちが、わずかな光を解析して、ティーガーデン星に惑星があることを発見しただけでも大したことなのに、3000℃だと反エントロピーが小さいなどとケチをつけるようで申し訳ない。
compare Earth with Teegarden b c
https://www.sciencealert.com/two-earth-like-planets-found-orbiting-a-star-just-12-light-years-awayから借用。
地球、ティーガーデンb、ティーガーデンcからの風景を想像した図。この図が言いたいことは、3つ並べてあるので、おそらく、その惑星から見た恒星の大きさの比較であろう。でもこの図は、色が間違っている。ティーガーデン星は、もっと赤い。

The red star Teegarden
 ティーガーデン星を赤く塗ってみた。ティーガーデン星は赤い。ティーガーデン星には、天然には青い光はない。昼間でも夕焼けのような色の風景だ。紫外線が少ないのはいいけど、光合成には効率の悪い光しか来ない。でも地球の常識は通用しないような生命体はいるかもしれない。
2019年7月15日


追伸

k2-18bも、おそらく蒸し暑い

k2-18b
 地球からおよそ約124光年の距離に、k2-18bという星がある。k2-18が恒星で、k2-18bがその惑星。場所はしし座。なおティーガーデン星は、おひつじ座。
 最近(2019年9月)、そのk2-18bの大気中に水蒸気が存在するという論文が発表された。今、k2-18bは、(一部の人たちの間で)話題になっている。興味ある人は、k2-18b で検索してみるとよい。
 で、問題は恒星のk2-18が、赤色矮星なこと。ティーガーデン星と同じで、温度は3000℃くらい。ティーガーデン星と同じ理由で、水蒸気が(地球と比べたら)蒸発しにくく、おそらく惑星k2-18bも、蒸し暑い(私の予想)。
 もっとも、k2-18bは、別な理由で(放射線が強いとか)生命の存在は難しいと予想されているので、蒸し暑いも何もないが。

 もう一点。上の絵は、k2-18bの想像図として出回っている絵だけど、色がおそらく間違っている。こんなに青くはないはず。もし地球の太陽のような白い光を当てると青く見えるかもしれないけど、k2-18は赤色矮星なので、赤い光で照らされたら青くは見えないはず。
2019年7月15日 初版
2019年9月15日 更新
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